市川森一先生が亡くなってしまった
さて、仕事も落ち着いてところで日記を書き始めよう、と思ったところに訃報が。
生まれ育った長崎を愛し、長崎独自の文化の紹介に力を注いだ脚本家の市川森一さんが10日、急逝した。故郷の人たちと一緒に作り上げてきた出版物や講座の今後を死去直前まで気にかけ、外へ向けて発信することの大切さを説いていた。
市川森一氏は、自分のような世代にとっては、「セブン」、「帰ってきたウルトラマン」、そして、メインライターを務め氏の色を前面に出した「ウルトラマンエース」といったウルトラ作品でとても印象深い人です*1。
「セブン」や「帰ってきたウルトラマン」では、時にかなりの異色作を手がけていることでも知られています。「セブン」では、「盗まれたウルトラ・アイ」が、「帰ってきたウルトラマン」では、「ふるさと地球を去る」「悪魔と天使の間に……」は未だに語り草です。
以前、氏にウルトラマン作成時の思い出話をうかがうインタビュー番組で、先輩方が予算を使い切ってしまったので怪獣のぬいぐるみを作れなくなって四苦八苦して脚本を書いた、というエピソードを語っていました。怪獣が一切出ない「盗まれたウルトラ・アイ」や出てくる怪獣はカプセル怪獣のアギラとロボットっぽく飾りつけたセブン(笑)という「ダン対セブンの決闘」のことでしょうね。
強烈な話の多い「帰ってきたウルトラマン」の中でも、「ふるさと地球を去る」「悪魔と天使の間に……」の2作はヘビー級です。
そんなわけで、ウルトラの人という印象が強い氏なのですが、もう一つの日本が誇る特撮ヒーローシリーズ「仮面ライダー」ともかかわりがあります。
オープニングのナレーション「仮面ライダー本郷猛は改造人間である。彼を改造したショッカーは、世界征服を企む悪の秘密結社である。仮面ライダーは人間の為にショッカーと戦うのだ」はあまりに有名だが、これは市川さんが考案。シリーズを手がける東映は「単純な勧善懲悪ではない精神は、今も受け継がれています」としている。
http://news.biglobe.ne.jp/entertainment/1211/ssp_111211_0482396266.html
記事中では、「人間の為」とありますが、本当は「人間の自由の為」です。正義のためではなく、自由のためというのがこのナレーションの本質ですからここは間違って欲しくありません。東映が言う「単純な勧善懲悪ではない精神」という言葉は、「正義」ではなく「自由」のために戦うという部分にかかっています。
正義のために戦うなんていうのは止めましょう。ナチスだって正義を謳ったんだから、正義って奴は判らない。悪者とは、どんなお題目を掲げていても人間の自由を奪う奴が悪者です。仮面ライダーは、我々人間の自由を奪う敵に対し人間の自由を守るために戦うのです
正義ではなく自由のために、市川氏らしい言葉だと思います。エースの最終回のメッセージと並んで、氏の思想をストレートに伝える言葉だと思います。
氏のご冥福をお祈りします。
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